「一路」(浅田次郎作)を読みました。

少し時間をかけて浅田次郎「一路」を読みました。
この小説は、岐阜西美濃から江戸へ12日間かけての参勤交代の話です。一路は父親の不慮の死に遭遇し、何の教育や引き継ぎも受けないまま道中を差配する御供頭のお役目につくことになります。彼は200年以上前に描かれた「行軍録」なる参勤交代道中マニュアルをもとに、古式に則った行軍を仕立てあげます。そして木曾川支流の与川崩れの難所や和田峠の豪雪に耐えて、無事本所江戸屋敷に到着します。途中、浅田作品らしいお家転覆を狙う家老一味との戦いや加賀前田藩ゆかりのお姫様などが登場します。

時代は文久元年で前年(1860年)には桜田門外の変が起こった幕末に近い時代(1861年)です。また、翌文久2年には参勤交代の制度は3年に一回、100日江戸出府に簡素化されたそうで、幕府政治体制も綻びつつあった時代背景が伺えます。

本書を読んで感じたことは、原点回帰ということです。世の中のいろいろな仕事が効率化やコストダウンなどの目的で本来あるべき姿を見失い、内容が簡略化され変化し形式だけのものが多くなっている気がします。本来の目的が見失われたことにより、例えば電車や船舶の事故、工場の災害、夜行バスの事故、いろいろな不祥事などにつながっているように思われます。主人公一路が何もわからない中で手引きとした御供頭心得の中に「参勤交代の行列は行軍なり」ということが書かれています。参勤交代が行軍であれば必要な隊列を整えて、約束の日までに戦場に到着することが最優先されるべきことになります。

私たちはもう一度日常の中で慣れきっている仕事や事業についてその意味を原点に返って考え直す必要があるのではないか、と再認識した次第です。(平成26年4月30日)

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