小説 外務省

4月に発行されて今話題になっている孫崎亨「小説外務省 尖閣問題の正体」を読みました。小説の形になっていますが、実名で政治家や官僚が出てきます。著者自身が外務省の外交官出身ですので、書かれていることはかなり事実であろうと思われます。
戦後の日本の外交は米国追従優先で国や国民の利益は考えられていない、その典型が尖閣問題で、田中角栄首相と周恩来首相の間で棚上げになっていた尖閣を日本固有の領土として国が買うことにして、日中間に緊張状態を作り出しました。
尖閣列島問題は1972年の日中国交正常化交渉時点でもテーマであったようで、周恩来が「大同を求め小異を克服しよう」と発言し、田中首相もこの考え方に賛同したそうです。尖閣列島問題を棚上げしたのか、しなかったかもこの小説のひとつのテーマになっていますが、このような事実があまり知られていないことも問題です。
小説では2022年落ち込んだ自身の人気を回復するために時の首相が「尖閣諸島に自衛隊を常駐させる構想」を発表することになります。主人公の西京寺が首相に外務省とは異なる意見を直訴し、そこで小説は終わっています。(平成26年5月31日)

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